第Ⅰ章 プロローグ

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暗い、真っ暗な闇の中で動き出す。 次に手を動かしてみる。 自分の存在を確かめるために体に触れてみる。 手から腕へ。腕から腹へ。 確かに此処に自分という存在がちゃんとあることを確かめる。 地面に手をついてみれば ざらざらとしたもの ―― ただの砂とそこらに生えている雑草が手にまとわりつく―― とりあえず、横たわった体を起こしてみる。 ???「……っ!」 どれくらい寝ていたのか わからないが 体がその動作に悲鳴を上げた。 そんな俺の状態を和らげてくれるかのように 風が、そっとなでてくれる。 それは、敵意もなにもないただの風。 それは、俺を優しく包み込み、 まるで慰めてくれているかのようだった。 そして、俺は目を開ける。 今まで閉じていた目を開き、 世界の有様を見るために。
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