第Ⅰ章 プロローグ

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不意に。 頬になにか伝うものがあった。 それは一滴の涙。 僕の目から流れ出した 感情の具現化だ。 涙は悲しい時 痛みを患ったときに流れるもの。 なぜ涙が流れるのか。 僕は 悲しいことなんてないのに。 ???「あ……」 思わず声をあげた。 頭の中に彼女と過ごした 日々を思い出したから。 彼女の笑い顔 怒った顔 泣いた顔 悲しそうな顔。 懐かしい記憶が頭の中に 思い出しては流れていく。 女の子1「……ずっと、ずっと一緒にいてね?」 女の子2「ばいばい。……さようなら」 涙が 頬を伝う涙が、止まらなかった。 嗚咽を堪える。 断片的な記憶だけど 彼女の言葉を思い出し、 俺の心に訴えかけていく。 そのたびに涙は溢れ出し 頬を伝っていく。 心の中に空いた 大きな穴を埋めようとするように その涙は流れていくようだった。
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