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チッ、チッ、チッ、チッ。
頭の中で耳障りな音がする。
それは枕元で奏でる目覚まし時計の音。
いつもは気にかけないのに
今日はやたらとうるさく聞こえる。
「…………」
夢をみていた。
何か、とても大切な夢を。
だがどんな内容だったのか
思い出せない。
思い出そうとすると頭が痛む。
まるで思い出すことを
体が拒否しているような……
そんな感覚に襲われる。
仕方がなく、体を起こす。
世界はまだ暗闇の中だ。
暗闇が俺を包み込んでいた。
目を凝らして暗闇に目を慣らさせる。
次第に暗闇に目が慣れ、
周りが見えるようになってくる。
僅かなカーテンの隙間から
入ってくる星光に慣れてきて
やっと枕元の時計を確認する。
僅かな明かりを頼りながら
時刻を確認する。
――午前3時。
時計の針はまだ起床には
早すぎますよーという
数字を指していた。
「さすがにこの時間に起きるわけにもいかないか……」
誰にいうわけでもなくそう呟くと
もう一度眠りにつくことにする。
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