第Ⅰ章 プロローグ

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チッ、チッ、チッ、チッ。   頭の中で耳障りな音がする。 それは枕元で奏でる目覚まし時計の音。 いつもは気にかけないのに 今日はやたらとうるさく聞こえる。 「…………」    夢をみていた。    何か、とても大切な夢を。    だがどんな内容だったのか 思い出せない。    思い出そうとすると頭が痛む。 まるで思い出すことを 体が拒否しているような…… そんな感覚に襲われる。 仕方がなく、体を起こす。   世界はまだ暗闇の中だ。 暗闇が俺を包み込んでいた。 目を凝らして暗闇に目を慣らさせる。 次第に暗闇に目が慣れ、 周りが見えるようになってくる。    僅かなカーテンの隙間から 入ってくる星光に慣れてきて やっと枕元の時計を確認する。 僅かな明かりを頼りながら 時刻を確認する。 ――午前3時。 時計の針はまだ起床には 早すぎますよーという 数字を指していた。 「さすがにこの時間に起きるわけにもいかないか……」 誰にいうわけでもなくそう呟くと もう一度眠りにつくことにする。
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