ある本屋にて

4/7
前へ
/37ページ
次へ
彼女は『ワールドクリエイトストーリー』の新巻……第十巻を手に取っていた。 「その本…、面白いのかい?」 私は、思わず、彼女に話し掛けていた。 彼女が私の顔を見る。 その顔は、やっぱりリリィだ。 「はい。私はこのシリーズが好きなんです」 少女は嬉しそうに笑った。 「今日、最終巻が発売だって思い出して、学校から飛んで来たんですよ」 私は、彼女の事を聞いてみた。彼女は、はきはきと答えだした。 「私、神岡凛々(かみおか りり)っていいます」 彼女は本を大事に抱え、名前をそう言った。 「その本のどんなところが面白いの?」 彼女は、少し考えてから、気恥ずかしそうに言った。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加