ある本屋にて

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「…夢を見るんです…。森に囲まれた家で、兎と暮らす夢を…。だから私にとって、兎は特別な存在なのです。私が兎を飼っている事、よくご存知でしたね。まるで…、この本に出る神様みたいな人……」 彼女はそう言って店を出ていった。 私は、自分を神だと思ったことはない。 しかし、本当に神がいるとしたら、彼女こそ、神のお創りになった人物ではないか。 私という一般人は『リリィ』は創れても、『神岡凛々』は創れないのだから。 私が、本の中で兎を創り、その兎に創られた本の中の人間が実在している。 一冊の『ワールドクリエイトストーリー』が、新たに、世界を創り始めたのだろうか。 私は、この本の『作者』として、そう思うことにする。 END
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