1人が本棚に入れています
本棚に追加
「貴方は一体…誰なのですか…?」
「僕か…。ふふ…、僕が君を創った……いや、この世界を創ったというべきか…」
彼は優しく私を見据え、そして言った。
「ここはね、僕の世界なんだ。そしてリリィ、君はこの世界の住人さ。」
「…住人…ですか?」
「そうだよ」
すると彼はあの小さな家に目をやった。
「あの家には生活するのに必要な物が全て揃っているんだ。」
私も、彼同様にその小さな家を見た。
「それと、その格好じゃ寒くないかい?」
彼はクスクスと笑って「服を着てきなよ」と言って後ろを向いた。
私は、自分が裸だったことに気が付いた。
ポカポカ陽気で寒くなどなかったが、むしろ自分が今まで裸だったことを知った途端暑くなった。
私は、芝生を蹴りながら振り返ることなく、一直線に家まで走った。
勢いよくドアを閉め、荒い呼吸を整えた。
私は初めて羞恥の心を頭で知ることができたのだった。
最初のコメントを投稿しよう!