第3章:鼎雫

10/11
前へ
/85ページ
次へ
教室に入ったのはHRが始まる2分前だった 正確には予定の上での話…… 実際私のクラスの担任、橋本沙希は5分は遅れてくるのだ それは『長くて』ではなく『短くて』5分 本当に遅いときはHRが終わる寸前に来る そんなんでいいのだろうか…… 「沙希ちゃんは… まだきてないね」 橋本沙希はその性格故か先生と呼ぶ人は皆無といっていいだろう 「くるわけないじゃないですか あの沙希さんが時間通りに来たら天変地異の前触れですよ??」 今更ながらひどい言われようだと思う かくいう私も沙希と呼び捨てにしているが…… 「なら天変地異が起こるわねー」 私たちは一斉に振り返る 「……あ」 私は間抜けな声を発してしまう そこにいたのは橋本沙希だったのだから… 「沙希さん、今日は早いね まだ時間じゃないよ??」 鼎が冷静に問いかけた 流石は委員長の肩書きを持つ女だ 「今日は早く起きたからねー 花音ちゃんも今日から来れるみたいだしー 怪我は大丈夫ー??」 「あぁ、お陰様で」 私がそう呟くと沙希は少し驚く 返事など期待してなかったのだろう 「そ…そうー?? ならよかったわー」 沙希がそういったときHR開始のチャイムがなった 沙希がもう来ていることにクラス中が大騒ぎしていた 余談ではあるがこの日は遅刻が多かった
/85ページ

最初のコメントを投稿しよう!

909人が本棚に入れています
本棚に追加