第4章:鼎梓

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『放課後教室に残ってねー』 私はある人物からそう言われていた その所為で栞と一緒に帰れなかったのだ …ったくつまらん用だったら殴るぞ 「花音ちゃんー 待ったー??」 アホらしい間延びしたしゃべり方をしながら私を呼び出した主が小走りでこっちにくる 「あぁ、待った」 私は嫌みも含めてに反論した まぁ私を呼び出したのは端から分かってるとは思うが沙希だ 「今日は花音ちゃんに聞きたいことがあるのー」 「なるべく手短に頼む 私は早く帰りたいんだ」 沙希の聞きたいなんか知ったことじゃない 適当にあしらって帰るか 「花音ちゃんってー 栞ちゃんのこと好きなのー??」 「ん?? あぁ栞は私の親友だ」 私がそう答えると沙希は『そうじゃなくてー』とでもいうように首を横に振る 「栞ちゃんを愛してるのー?? ってことー」 私は幸い口には何も含んでいなかったが何か含んでいたら吹き出していただろう それこそ漫画のように… 「そ……そんなわけないだろ!? 私はこう見えて女だ!!」 「別に愛に性別は関係ないよー 今は遺伝子の技術とか発達してるから女同士でも子供は作れるはずだしー それに私だってある女の子を好きになっちゃったしー」 理論上のことやお前のことなんかどうでもいい 私が言いたいのはそうじゃない 「日本では同性婚は認められていない それに世間の眼だってあるだろ??」 ……私は栞を好きになっちゃいけなかった 「そんなこと言わないのー 好きなら好きでいいんだよー 結局栞ちゃんのこと好きなのー??」 「………あぁ好きだ 私は栞のこと好きだよ 怒るなら怒れよ」 どうせ私のことを怒るために呼んだんだろ?? 結局どうのこうの言って同性間の交際は駄目とかぬかすに決まってる 「なんで怒るのー?? 私も女の子が好きなんだから怒れるわけないでしょー??」 ……怒らない?? そんなのありえない 「ならお前は誰が好きだってんだよ…」 どうせ嘘だろ?? 私に心を許させるための 「………ちゃん」 「は??」 「花音ちゃん!!」 ……待て、花音って私じゃないよな?? 花音なんて名前他にもいそうだし 「相原花音ちゃんが好きなのー……」 そう言うや否や沙希は泣き始めてしまった
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