第4章:鼎梓

11/12
前へ
/85ページ
次へ
その後、沙希と別れて私は家に帰ることにした 昨日は賑やかだったから何か寂しい気もする 昨日以前はこれが普通だったのにな…… 「お姉様ぁぁぁ!!」 ……何か朝も聞いたような足音と声だな 私に走り寄ってくるような足音…… 予想通り足音は私の前で止まる 「またお会いできましたね♪」 梓はそういうや否や私の腕に抱きついてくる 昨日初めて会ったばかりだっていうのにこの懐きようはなんだ…… 「暑苦しいな…… 離れろ」 「嫌ですよ♪ お姉様今お帰りですか??」 梓は私の腕に抱きついたまま私に問いかける 「あぁちょっと担任に呼ばれてな 梓は??」 私がそういうと梓は離れてくれた ……なんだ?? 「私はこれを買ってました」 梓はハンドバッグからペンダントを取り出す 「ペンダント?? ん、これ写真入るやつだな」 そのペンダントは開くようになっていて写真が入るようになっている 「はい、そうですよ」 梓は誇らしげにパカパカと開いたり閉じたりを繰り返す いや、誇るようなことじゃないけどな…… 「誰の写真入れんの??」 「……大好きな人の写真です」 梓は恥ずかしそうに俯きながら答える 大好きな……ね なんか虐めたくなってくるくらい可愛い反応だ 「男??女??」 「お……女です」 ……普通なら友達だろうと思うところだがこの反応から察するに私が栞に抱いてる感情と同じものだろう だが、私はそれ以上は詮索しないことにする 私が土足で踏み込んでいけないような気がして…… 「そうか 友達か??」 「その……先輩です」 先輩か…… 百合辺りかな……?? 前から知ってるみたいだし 「まぁその話はもういい 途中まで一緒に帰るか??」 私が梓にそう尋ねると梓は嬉しそうに『はい』と返事をしてから私の腕に抱きついてきた 妹がいたらこんな感じなのか?? 私は梓の頭を撫でてから歩き出した
/85ページ

最初のコメントを投稿しよう!

909人が本棚に入れています
本棚に追加