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降り頻る雨の中、傘を持たない俺は、ずぶ濡れになりならが立ち尽くしていた。
小刻みに肩を震わせる俺に傘を差し出す人などいない。
街行く人々は、忙しそうに俺を横目で見ながら通り過ぎて行くだけ。
すれ違う人逹の目に、きっと俺は、惨めに映っているだろう。
世間の風は冷たいっていうけど、今は冷たい方がいい。
このままそっとしておいてくれ……。
降り頻る雨の中、俺は目を細めて星のない真っ暗な夜空を見上げた。
見上げた夜空はなんだか切なくて、留まる事を知らない涙は、溢れて頬を伝い流れ落ちる。
「お前も泣いているのか?」
そう空に問いかけても答えなど返ってくる筈もなく、俺は目を閉じて耳を澄ました。
雨音の中にどこからか返事が聴こえてきそうな気がして……。
涙の向こう側に俺は、あの日の君の笑顔が思い浮かんだ……。
今、切に願う……。
『キミに逢いたい』
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