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私は今、何度「ごめんなさい」を言われたのだろうか。 彼女は謝る事が余程好きなのか、そうでなければ凄く動物やウサギが好きな子で、その死に動転しているのか……。 ちょこまかと動くウサギたちを見て「可愛い!」と叫びながら、それがある日突然動かなくなると、誰しもが嫌悪し怖がる。 本来ならば、こういう事は飼育委員会担当の兵頭先生が対処すべきだ。 女子中学生より、男でしかも剣道4段、熊のような巨漢の先生が絶対適しているはず。 だが豪快な容貌の先生は、実はだらしない位の怖がりだ。ウサギどころか、ゴキブリの死体すら触れない。 ウサギを抱え職員室の彼を訪れ、私の所へ行くように促され……。 だが口調から察するに彼女はきっと三年生の教室まで行くのを躊躇い、先に二年生を頼ったのだろう。それでも解決出来なくて。 死体と共にうな垂れながら校舎中を歩き回る彼女を想い、ぎゅっと胃を握られたような気分になる。 その間、きっと蔑みや、変人を見るような目で見られていたに違いない。誰もが声をかけずに、手を差し伸べずに、彼女は一人でとぼとぼと私の下へやって来た。 「ちゃんとしてあげなくっちゃね。手伝ってもらえるかな、えっと……」 「岸本です、岸本さくら」 「うん、岸本さんね。じゃ行こうか、埋葬しに」 岸本を促し、廊下を階段へ向かって歩き出す。 「埋めるんですか?」 「うん。ちゃんとそういう場所があるんだよ」 「……知らなかった」 彼女はぽつんと呟いた。
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