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俺なら良かったのに。
どうして真琴じゃなきゃならなかったんだ?
真琴はこれから、里親だった家族と、ホントの家族になって幸せになるはずだったんだ。
俺は何もない。
夢も何も。
ただ漠然と生きていて、親父から逃げて来た俺は…何もない。
真琴と出会ってから、少しは変われたと思ってたのに…
真琴はいなくなってしまった。
どこにもいない。
俺の側にいない。
そうなってしまったら、俺は何のために生きてるんだ?
……。
真琴の所に行こう。
俺は真琴がいないとダメだから。
真琴がいないと…俺は俺を保っていられなくなるから。
真琴の所に行こう。
そうすれば、俺はこの苦しみから解放される。
大切な人は…側にいなきゃな。
だから…
行こう…。
「……」
俺は携帯を握り締め、ずっと引きこもっていた部屋から出て、家を後にした。
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