―21章―

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俺なら良かったのに。 どうして真琴じゃなきゃならなかったんだ? 真琴はこれから、里親だった家族と、ホントの家族になって幸せになるはずだったんだ。 俺は何もない。 夢も何も。 ただ漠然と生きていて、親父から逃げて来た俺は…何もない。 真琴と出会ってから、少しは変われたと思ってたのに… 真琴はいなくなってしまった。 どこにもいない。 俺の側にいない。 そうなってしまったら、俺は何のために生きてるんだ? ……。 真琴の所に行こう。 俺は真琴がいないとダメだから。 真琴がいないと…俺は俺を保っていられなくなるから。 真琴の所に行こう。 そうすれば、俺はこの苦しみから解放される。 大切な人は…側にいなきゃな。 だから… 行こう…。 「……」 俺は携帯を握り締め、ずっと引きこもっていた部屋から出て、家を後にした。
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