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夕食を終えたあと、私は大和と一緒に彼の自室に引っ込んだ。
おばさんの強い希望で、今日は泊まることになった。
「なぁ、さっちゃん~」
おじさんが甘えたような声で話しかける。
ちなみに、大和はトイレでいない。じゃなければ、おじさんが大和の部屋に入ることはない。大和が嫌がるから。
「ホントに大和と付き合ってないの?」
「うん」
「なのに大和の部屋に泊まるの?」
「うん」
「年頃の娘さんが良いのかぁ…?」
訳がわからないとおじさんは言う。
そりゃあ、お互いに彼氏や彼女がいた時期もあったけど、それでも、このスタイルは変わらない。
まぁ、それが原因で別れた人もいたけど。
「私と大和ってさ、もうほとんど家族じゃない?姉弟みたいなさ」
「ん……だねぇ」
「私、一人っ子だけど、大和は弟みたいな……誕生日的には違うけど、お兄ちゃんみたいな存在なんだよね」
だとしたら、私はそうとうなブラコンかもしれない。
じゃなくて、つまりは。
「お互い、恋愛対象じゃないんだよね」
「ふぅん…さっちゃんが嫁に来たら嬉しいのに」
「娘なら良いよ。私、家の事情もあるし、たぶん婿養子だと思うし」
いっそ、今からでも弟が産まれないかなぁ。そしたら、私は華桜院から自由になれるのに。
ま、あの両親じゃ絶対無理だろうけどね。
さらにおじさんとの話が弾みかけた時、勢いよく扉が開く。扉の付近に座っていたおじさんは、見事に頭に直撃したようだ。
「クソ親父~、何勝手に部屋に入ってんだよ!」
「あだだだだ…。これ、マジで頭割れるから」
呻くおじさんを、大和は問答無用で叩き出した。
やっと扉を閉めると、大和は深いため息を吐く。
「サク、変なこと言われなかった?」
おじさんは何かと私達をくっつけたがるから、大和は苦手らしい。
「言えば良いじゃん。前に付き合ったけど別れたって」 「それ言ったらまた何か言われるからヤダね」
そんな下らない話をしながら、私達は眠りについた。
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