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瞼に眩しい光を感じる。
もう少し寝ていたいのに、時間はそれを許してはくれない。
「サクー、もう8時になるぞ?」
「嘘っ!?」
大和の一言で、私は飛び起きた。
慌ててケータイを確認すると、7時58分。
今から着替えて、朝食を食べて身支度をして、そして学校までの距離を考えると、9時過ぎになる。
「なんでもっと早く起こしてくれないのよ」
「27回声かけた」
「…こないだは43回だったじゃない」
むぅっとするが、仕方がない。起きなかった私が悪いのだ。
諦めてとりあえずは着替えるために、借りていた服を下から脱いでく。
大和は少し呆れてた。
「サク、一応俺も男。ホイホイ目の前で脱ぐな」
現在下着一枚の男に言われたくはない。
「先週一緒に風呂入ったじゃない。今更よ」
私は構わず制服に着替える。大和も同じだ。
今更、この幼馴染みで異性として意識するなんて無理な話だ。
私はリボンを結んだあと、大和のネクタイを締める。大和は高校生活三年目になっても、自分でネクタイを締められない。
社会人になったらどうするんだろう。
朝食にワッフルと野菜のクリームスープを食べてから、おばさんに急かされて私達は家を出た。
いつもは徒歩だが、今日は遅刻寸前だから自転車の二人乗りだ。
「大和、大丈夫?」
「平気、平気。サク軽すぎだし」
にししと笑いながら、大和はどんどんスピードを上げる。
…これ、信号でちゃんと止まれるのかな。
猛スピードを出す自転車の上で、私は大和にしがみつく以外に、できることなんかなかった。
ちなみに、校門が閉まる直前に滑り込みセーフできた。
でも、大和の運転は怖すぎる。
帰りはもう少し安全運転でありますように。
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