嘘つきな彼女と出会って

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6月の中旬――― 梅雨という時季に入ってからというもの、雨の日が何日も続いていて、高校に毎日通わなければならない俺は憂鬱な気分に襲われている。 …まぁ俺だけじゃないんだろうけど、全員が全員雨が嫌いなわけじゃないし、外で部活をやっている連中の中には、部活を休める雨の日を嬉しく思うやつもいるだろ。 たまの特別な休みを嬉しく思う気持ちは分からなくもないが、俺は部活に所属した経験が無いから、部活をやっているやつの気持ちはあまり分からない。 とにかく俺は雨が嫌いだ。 そんな嫌いな雨が地面にぶつかってザーザーと音をたてながら降り続く中で、俺は傘をさして通学路を一人で歩いている。 駅も近いことから多くの生徒が同じ目的地である式守ーシキモリー高校に向かって歩いて行く。 人が多い理由には雨の日だから自転車でなくて電車で登校している、というのもある。 俺の場合は毎朝電車なんだけどな。 人が多いからって別にうっとうしいと思うわけではないけれど、やっぱり狭い歩道を傘をさして何人も並んで歩かれるのはどうもいただけない。 "邪魔なんですけど"くらい言えばいいんだろうけど、そこまで邪魔とまで思ってないのでこのまま遅いペースで歩き続ける。
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