嘘つきな彼女と出会って

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「おーい!拓真くーん!!」 いつも通り一人で登校していると、後ろから聞き覚えのある女子の声で俺を呼ぶのが聞こえてきたので、振り返ってみると、少し遠目に、肩辺りまでの長さの黒髪の女子が元気良く手を振りながらこっちに走ってきていた。 傘はさしてるんだけど、あんまり元気良く手を振りながら走るもんだから、結構濡れていらっしゃる。 …あぁ、ちなみに俺の名前は中津 拓真ーナカツ タクマーな。 「おはよう!今日もいい天、気……じゃないけど、とりあえず元気出して行きましょー!」 「そうですね、小寺さん」 息を切らせながら走ってきた小柄で常時元気いっぱいの女子の名前は小寺 波希ーコテラ ナミキー。 こんな雨の中でも隣を歩く無邪気な小寺さんの笑顔は眩しい…。 なんてことはどうでもいいよ、と。 「リアクションの薄さが神懸かってきたのは気のせいかな?そしてもう一度おはよう!」 「おう!今日はうっとうしいぐらいの天気だけど、おはよう!」 俺は精一杯テンションとやらを上げてみせて、ついでに上っ面スマイルを付加させてやった。 「よぅし、合格さ!」 小寺は晴れやかな笑顔と共に、傘を握っている手の親指だけをぐっと立てて俺に向けてきた。 いや、そんなことしたらお前濡れるだろうに…。 …って手遅れか。
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