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「りょーすけー!!」
快晴。
どこからか、小鳥のさえずりが聞こえてきそうな程に、晴れ渡る空。
そこに写し出される、白い雲。
6月の梅雨の時期とは考えられない程、見事な天気だった。
そんな事をしみじみと感じていると、遥か遠くから鳴り響くかん高い声。
毎朝毎朝………いつもの事だ。
やれやれ、と呆れながらも自転車をこぐ足を止め、声のした方をゆっくりと振り返る、高木 亮介(たかぎ りょうすけ)。
そして、その目に映った小さな影は
「汗かきすぎだろ、梓」
相当なスピードで走ってきたのであろう。
膝に手をつき、額に汗をにじませ、肩で呼吸をしながらも息を整える少女。
ってか普通の女の子ってこんな朝っぱらから汗なんてかかなくね?
「なんで………置いてくの……よぉ」
「いや別に置いていったわけじゃねえし一緒に学校行ってるわけじゃねえし」
と、少々冷たく少女―――唐沢 梓(からさわ あずさ)に言い放つ、亮介。
そう言われた彼女は、まだ息が乱れたままでそれを整える事に必死なようで、亮介の声など耳に入っていないようだ。
ったく………仕方ないな
そんな彼女をほっとくわけにもいかず、カバンから一枚タオルを取り出し、手渡した。
そんな亮介の親切さに驚いたのか、遅れながらもタオルを受け取る梓。
「んん…ありがとぉ」
「汗ふいたら早く乗れ。遅刻すんぞ」
ありがと、ともう一度礼を亮介に言い、慣れた動きで軽い体を亮介が乗っている自転車の後ろに預けた。
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