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「…はっ…………はあっ……」
ケイディア帝国の剣技場に、僕達はいた。
「進歩ねえな……お前」
男は、僕の喉元に剣を向けたまま溜め息をついた。
「また負けた……どうしてレインに勝てないかなあ…」
「隙がありすぎるからだ…と何度言えば分かるんだ?」
レインは無造作に転がった剣を一蔑し、僕の方を向いての口端をつり上げ、笑った。
「だ、だって……」
「弱点を直さないからすぐにやられる。だからセレンは弱いままなんだ」
「れ、レインが強いだけだって!『マスター』だし…」
「お前も一応『マスター』じゃないか…」
そう言って溜め息をつき、レインは剣を鞘に収めた。
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