記憶喪失の男

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さらに一時間程歩いただろうか。いっこうに変わることのない景色。 まるで砂漠のようだ。 あたり一面が砂で風が吹く度に姿をかえ方向感覚を失わせる砂漠。 一見全く異なるモノだが、この森は普通の森とは全く違う。前を見ても後ろを見ても左を見ても右を見ても、均等に並んだ木々、違う所など一つもない。そう言う意味では砂漠よりもたちが悪いかもしれない。 その時、私の視界にわずかに違う景色がうつった。 遠くに少し影の様なものが少し見えただけなのだがずっと同じ景色を見続けていた私の眼はその違和感を見逃さなかった。 私は自然と走りだしていた。
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