第二章 過去の清算

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ユアン「ですが平北侵攻の折に籐太が牙獲に殺害されたと聞いて私は疑念を抱きました、しかし無用な戦いを避けるためにあの場は退かざるをえませんでした。 鳳英に戻り籐太の死が広まるとミシェル様を始め多くの人民が悲しみました、そして私は籐太のペンダントを見て己の過ちに気付いたのです!」 ユアンは籐太のペンダントを懐から出して籐太に渡した。 ユアン「このペンダントには仕掛けが施してありました、恐らく細工好きな籐太の父親の遊び心でしょう。 しかしそこに刻まれた文字に私は己の罪を痛感しました、それは子を思う親の心が綴ってあったからです!」 籐太「細工? そんなものが・・・?」 ユアン「ペンダントの支えを押して右に回してみて下さい」 籐太は言われた通りにペンダントを操作した、するとペンダントが観音開きしたのである。 籐太「こんな仕掛けが・・・」 そこには文字が刻印されていた『お前は私の宝物だ、産まれてくれてありがとう』と、それは籐太の誕生を心から喜び愛情を表現した父親の強い思いだった。 籐太「父さん・・・」 籐太は涙を流した、いつも厳しく、そして優しい父親の姿を思い浮かべ感極まった様だった。
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