27人が本棚に入れています
本棚に追加
体育館の裏手で携帯電話を握る一人の少女。
苛立った様子でそれを耳に当て、コツコツと、真新しい革靴の先で地を叩く。
「なんで出ないのよ~もう! 希望の奴何やってんのかしら」
目を吊り上げ体育館の壁を靴裏で蹴り上げているのは、希望と同じ新一年生の上熊須カリンであった。
肩の辺りまで伸びたショートに、極端に小柄な体駆。そしてその矮駆には明らかに不釣り合いな程の、巨大な二つの膨らみ。
「あーもー! 連絡取れなきゃ携帯の意味無い!」
外壁をまるで親の仇を見るような目で睨む。
気が抜け、そして溜息。
最初のコメントを投稿しよう!