―文化祭前夜―

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「お困りの様だな、お嬢さん」  肩を落とすカリンがだるそうに振り返る。  声のした方を見ると、男子生徒が一人、如才無い笑みで立っていた。 「だれ?」  カリンの怪訝な声に、少年は苦笑する。 「通りすがりの節介焼き、としか言いようがないな」  そのふざけた応えに、カリンは不満の色を隠せなかった。 「なにそれ」 「細かい事は気にしない。それよりも、君の探し人の居場所を知りたいんじゃないか?」  カリンの眉が僅かに反応した。目を細め、目の前の少年をじっと見る。
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