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「何で俺が……ブツブツ……」
青空が広がり高く雲が流れる中、孤碧は林を駆け抜けていた。ブツブツと己の苛立ちを言葉にしながら。
今日はせっかく昼の仕事も夜の仕事も入っていなかったのに。本来なら今頃はこの間手に入ったSクラスの禁術書の解読を穎鹿としていた筈なのに、あの蛞蝓。あの馬鹿力。
「俺が出向くほどのレベルでもねーだろーが」
最後に一つ悪態を吐くと孤碧は口をつぐみ、足を早めた。目指すゴールはもうすぐ先。
言い渡された任務地にたどり着くと、そこにいたのは数人の木葉の暗部。そこにはカカシと悠遠の姿もある。
どこが救難要請だ!! 叫びたい衝動を押さえ込み、ひくつく頬をそのままに孤碧はその塊を見据えた。
何をすればいいのかがわからず、見つめ合うこと暫く。瞬身の術を使い、穎鹿が現れた。この現状を目の当たりにし、少しばかり動揺しているようだ。
「綱手様からの書状だ」
穎鹿から渡された書状に目を走らせ、孤碧は暫くの間固まる。異常なまでの怒りを感じ取り、穎鹿はその場を離れた。
「ところで何の集まりなの?」
「とりあえず綱手様に集まれって言われた面子だけど……穎鹿は?」
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