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カツンと小石を蹴飛ばした。
涙なんて、当に渇れ果てて溢れそうもない。
どんなに叫んだって届かないから…。
僕が耐えてアイツ等から離れられるまで待つしかないんだ。
泣きたいのに泣けないから僕は、拳を握って俯き一人立ち止まる。
悔しくて悔しくて堪らなくて…。
何で、こんなふうになってしまったんだ?
ずっと、楽しかった筈なのに…。
「キミ…大丈夫?
顔、泣きそうだよ。」
唐突な声に驚いて俯いていた顔を上げた。
そこには、妙に整った顔の男の人が立っていた。自分よりも少し年上くらいの人だった。
「えと…その…。
だっ大丈夫…です」
しどろもどろに僕は応えるが、彼は大丈夫じゃないでしょ。と口を開いた。
「うわぁ…痛そう。
頬、痛くない。
喧嘩でもしたの?凄く腫れてるよ」
そう言えば、さっきまた殴られたんだっけ…。シップも貼ってくるの忘れたし…。
遠い目で考えていると、彼は何を思ったのか、僕の腕を引っ張った。
「その顔は、喧嘩じゃないみたいだね…。
取り敢えず、シップ貼ろう?
俺が薬局で買ってくるから。
あと、泣きたい時は無理矢理にでもちゃんと泣いた方がいいよ」
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