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彼は、複雑な表情を浮かべながら僕を公園のベンチに座らせた。
「それじゃあ俺は、シップ買ってくるから。
ここから動かないでね」
彼は、そう言って公園を出ていった。その後ろ姿を見送ってから僕は、腫れた頬に触れた。ピリピリと痛い。
痛くて痛くて…本当はどこが痛いのかわからなくて…。
ズキリと心が軋んだ。
僕は、声を殺して泣いた。少しだけの涙は、腫れた頬を溢れ落ち膝を濡らした。
ザリッと地面が鳴り隣に誰かが自分の隣に座る。
どうやら、彼が帰ってきたらしい。
優しく濡れた布が頬に触れた…。それが冷たくて心地好く感じた。
「…そうだよ。
泣きたい時に泣いちゃいな。
泣き止むまでずっと一緒にいるから」
彼は、もう片方の手で僕の頭を撫でた。
そのおかげで、もう出ないと思っていた涙がどっと溢れた。
「あぁ~あ。
可愛い顔が台無しだね」
僕が泣き止む頃に彼が買って来たシップを頬に貼る。
「…可愛いくないし…。
というか何で、見ず知らずの僕に構うんですか?」
泣き腫らした顔で彼の顔を見た。
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