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「一目惚れ?」
彼は、僕に向かって答えるが疑問系だった。
疑問系で言われても…。
僕は、キョトンとしてしまった。
「…あの…。
何で疑問系なんですか。
というか、からかうの止めて下さい」
僕はまた、俯く。
そんな僕に向かって困ったような顔をする彼。
「ごめん。
でも、気になったのは本当だし、多分…
一目惚れなのも本当だよ」
なんか、痛々しく傷付いてトゲトゲしくて…一人で戦ってるみたいに。
まるで、自分を守るために傷付いてるからさ。
気になった…。
彼は、そう言って僕の頭を撫でる。
そんな、さり気無い行動が僕の心を切なくさせた。
「…君が良ければだけど…
俺に君が戦っていることを教えて?
きっと、一人で抱え込むより楽になると思うよ」
彼の言葉にまた、涙が出そうになった。誰も見ないふりをして通り過ぎて行ったから…。
だから、この人なら…と思ったんだ。
長い長い昔話を彼は、黙って聞いてくれた。
楽しいかったことも辛くて悲しかったことも…。
最後まで、話を割ることなく相づちだけで聞いてくれた。
最後に彼は、『頑張ったね』って僕を抱き締めて撫でてくれた。
それが、とても安心した。
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