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長らく偉大な怪盗として
俺達に夢を与えてくれていた
ﾃﾘｱﾝ･ｸﾞｰﾙだったが､ある日突然
俺達の前から去っていく事になった｡
保護者の間では猛烈に嫌われていたが
俺達ｶﾞｷの間ではまさに伝説だった｡
見送りに行った時､何となしに聞いてみた｡
仕事の都合か何かで行っちゃうの?
とな｡
ﾋﾟｻﾞ屋のﾊﾞｲﾄに
そんな都合があるかは知らない｡
ﾃﾘｱﾝ･ｸﾞｰﾙは答えた｡
｢ずっと盗まれていた娘の命をやっと見つけたのよ｡早く盗み返してやらなきゃ｡｣
と嬉しそうにな｡
ﾃﾘｱﾝ･ｸﾞｰﾙが一人娘を
亡くしているという話を知ったのは
かなり後になってからだった｡
ﾔﾂは何を盗み返しに行ったのか｡
今も時々思い出す｡
完｡
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