足跡

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足跡

ある夜、私は夢を見た。 私は神様とともに砂浜を歩いていた。 振り返ると、砂浜には 二人分の足跡が残っていた。 一つは私のもので 一つは神様のものだった。 足跡を見ていると 私の人生の様々な場面が 走馬灯のように思い出された。 よく見ると、これまでの私の人生の中で 足跡が一人分しかないときが 何度もあることに気付いた。 それは、私が辛く悲しい思いをした 時期ばかりだった。 ああ、あの時は 信頼していた友達に裏切られた時だ。 ああ、あの時は 失恋して落胆していた時だ。 ああ、あの時は 事業で失敗した時だ。 私は神様に尋ねた。 「神様、あなたはずっと一緒にいてくれるものだと思っていました。 しかし、私が最も辛かった時期には一人分の足跡しか残っていません。 あなたを最も必要としていた時に、どうして私をお見捨てになられたのですか?」 すると神様は答えておっしゃった。 「愛しい、大切な我が子よ。 私は愛するお前を決して見捨てたりしない。 お前を一人ぼっちにはしない。 一人分しかない足跡はお前の足跡ではないよ。 その足跡は、私の足跡なのだよ。 悲しみに打ちひしがれるお前を背負って歩いた 私の足跡なのだよ。」
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