さん

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 車はゆっくりと、今にも崩れ落ちそうな家々を通り抜け、集落の中心部へと向かっていく。  ぽつりぽつりと建つ民家はどれも雨戸を閉め、人が住んでる気配さえ窺い知れない。  たまに通り過ぎる村人達は皆、何事かと薺達の乗る車を振り返る。 (年寄りばっかり)  すれ違うのは、腰の曲がった老人ばかり。  それも、当たり前かと思う。  こんな村、若い人が住みたいと思うような場所じゃない。  陰気な廃墟と陰気な村人達を横目に納得する。
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