さん

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 タイヤが砂利道を踏み、軋みをあげた。  眼の前には、他の家々よりも更に陰気な屋敷が待っていた。  こんな家だっけ?  車内からみあげる祖母の家は、薄気味悪いほど荒れ果ていた。  車内に吹き付けるクーラーの冷気をまともにうけ、薺は薄ら寒さを覚えた。  なんか、思い出の場所と違うなぁ。  想像してたのは、田舎の不便さと引き換えに、夏休みをゆっくりと過ごせるゆったりと時間に身を任せられる一時。  現実から逃れられる一瞬を求めにきた。  ついでにお小遣もだけど。  だけど、想像してたのとなんか違うんだよね。
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