第1幕

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(こんなとこ、ほんまに住めるんかな?)   市街地から程遠い村に、祖母はもう何十年と一人で暮らしていた。  都会ではないものの、市街地に産まれたときから住んでいた薺には、祖母の暮らしには想像もつかない。  便利であろうはずはない。  それでも、祖母は頑として村を出ようとはしなかった。 (わけわからん…)   薺にはぜったい真似できない。  こんなド田舎に住むなんて。  そのとき、叔父が急ブレーキをかけた。  薺達の身体が前にかたげる。  ちょうどカーブの曲がり角で滅多に来ない対向車とかちあってしまった。  互いにクラクションを鳴らして車はすれ違う。 「怖いなぁ。だからもっとスピード落としてって言ってるのに」  母親が、それ見たことかと、素早く抗議の声をあげる。  それに対して叔父はぶつくさと文句を言っているようだが、薺の耳にははっきりと届かない。  それでも幾分かはスピードを落としたようだ。  景色がゆっくりと過ぎ行く。
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