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「世話になったわ」
エレ、すぐに部屋を出ようとする。すると、ビックがその肩を掴む。
「何一人で背負いこもうとしてんだよ、エレ」
「あなた達を巻き込むわけにはいかないわ」
「君がうちの店に来た時点で、巻き込まれているから。兄弟に顔を知られた以上、無関係は無理でしょ」
エレがそうだったわ、と苦笑する。
「じゃあ、手を借りてもいいかしら。…命を落とすかもしれないけれど、それでも?」
一同頷く。
「ありがとう。あなたたちの命、私に預けてください…」
エレ、胸で十字を切る。
「じゃあ、まずはここから動くことなんだけど、移動先は聖霊界」
一同驚く。
「せいれいかい!?」
「いわゆる、天使の世界ってやつだな。ヴェリアル兄弟のアジトじゃないのか」
「兄弟が確実にリベルテを捕らえたとは限らないから、まずは確認するわ。聖霊界ではリベルテと契約を交わしたサーシャがいるからすぐに居場所を知ることができるの。だから先にそこへ行った方がいいと思うわ。聖霊界への道は二つ。1つは私しか知らない道。もう一つは私の家の鏡。だから二手に分かれるつもりよ」
リィナが目を細める。
「二手ね…」
アルが頷く。
「仕方ない。一斉にいったら、追ってこいといっているようなものだ」
「ええ。で、私の自宅の鏡は聖霊界への道が開くよう願えば聖霊界に行けるから、私は必要ないわ。だから、私の自宅へ向かうのは私以外のメンバーにしてほしい」
エレが四人を見る。ビックがエレと目線を合わせ、頷く。
「俺が行こう。自宅への道をはっきり覚えているのは俺だけだ。家の位置は変わってないな?」
「ええ。それじゃあ頼むわ。…ただ、辛いものをみることになると思うわ」
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