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――――…とある林の崖の近くで男性が立っている。
そこへ若いカイルが走ってくる。
「マスター!フランスの死神と闘うって本気ですか!」
カイルが男性の服を掴む。男性、ため息をつく。
「カイル…アデンは私の幼なじみなんだ。俺はあいつの暴走を止めてやらなければならない…親友だからな。だから、お前は手を出すな」
「ですが!アデンには“ブラッディ・アイズ”という殺人鬼がいるといいます…あなたは殺されてしまう!」
「カイル…」
男性がカイルの首に針を刺す。カイル、驚いて男性から離れる。
「マスター!?…っ…」
カイルが膝をつく。
「(体がしびれて…)」
「悪いな、カイル。俺はお前も失いたくはない」
男性が近くの茂みにカイルを隠す。そして、一呼吸置くと、ゆっくり後ろを振り返る。
「久しぶりだ、アデン」
銀の髪に左目に傷がある奇妙な男が男の後ろに立つ。
「本当に久しぶりだねえ…」
そして。
アデンの側に黒布に身を纏った小柄な男が現れる。
両手にはナイフが握られている。
体が痺れる中、カイルが茂みから息をのむ。
「(あいつが…噂のブラッディ・アイズ…)」
ブラッディ・アイズはまるで獣のような息づかいをして、黒布の隙間から片目をのぞかせている以外に顔は全く見えない。
カイルの背筋が凍る。
「(マスターっ!!!)」
カイルの目に、男性が両目から血飛沫を上げる姿が映る。
男性がよろめいたところで、ブラッディ・アイズがそのまま胸にナイフを突き刺す。
崩れるように男性が地に倒れる―――。
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