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榎本師団長の片眉が僅かに跳ねた。僕はたたみかけるように言葉を吐き出していく。
「あったら総務部で働くわけがないじゃないですか。辞退して本部に慰留して意見書を作ってますよ」
「本当に心残りはないのだな? 彼女のことも」
「……ありません」
そう言った僕を見る榎本師団長の目に、悲哀の色が映った気がした。
「それならいいのだが。楓羅三尉は役にたっているか? 問題は起こしてないだろうな?」
「冥さ……楓羅三尉ですか?」
役にたっているかと聞かれれば、僕はハイと答えるだろう。ただし問題は起こしてないだろうなと聞かれれば、僕は悩んでしまう。
なにしろ「昇級試験の合格祈願に行ってきますー」と言って飛び出したのはいいもの、朝まで行方不明になったり。香月と衝突したり。何やら怪しげな第3師団極大権限保有最上級司令部士官会略称極上士官会(版権スレスレ)なるものを立ち上げようとしたりetc……。
暴走に拍車がかかっているような気が……。
「元気なのはいいことだ。だが、くれぐれも手を出さないように」
「出しませんよっ!」
真顔で言われても困ります。てか手を出してみようものなら殺されます。
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