第46話 師団長の因果

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 確実に黒鐵と白鐵で三枚おろしになってしまいます。んな魚みたいな死に方だけは嫌ですよ。 「ふむ、意外と向こうも乗り気にな……」 「し、師団長っ!」 「すまんすまん。ただの冗談だ。そんなに怒らなくてもいいではないか」  いやいやいや。絶対にこの人本気で言ってたぞ。だって目が物語っていたし。  それにしても、榎本師団長と話すと冥さんの話になることが多々ある。第13特殊遊撃戦隊に配属させたのが榎本師団長だからだと前から思っていたが、最近どうも違うような気がしてきた。聞いてみるべきか否か。 「ん? 楓羅三尉ならワシの友人の娘だ」  ……今なんて言ったじーさん。 「楓羅は古い友人でな。その娘が軍に入るとなればワシも後押しするしかないだろう」  それを専門的用語で不正というヤツでは? 圧力をかけたっていうことは紛れもない不正では? 「いや、圧力なんてかけとらんよ。ただ人事部によろしく頼むと言っただけだ」  それを圧力って言うんだよぉぉぉっ!  あんた師団長なんだからそれくらい理解してくれよ、なんてことは口が裂けても言えない。むずむずする口元には今しばらく頑張ってもらおう。
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