第46話 師団長の因果

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「これは助言だが……滝野梨絵二等陸尉には気をつけろ」  滝野梨絵二等陸尉……ちょっと待て、もしかして滝野二尉のことか。  滝野さんならわけがわからない。どうして彼女に気をつけなければならないのだ。散り散りにはなってしまったが、元同僚で腕のたつ仲間に。 「返事はいらない。最後にもう一度だけ訊く。後悔はしていないのだな」  僕は最後の問いかけには答えることなく、扉を閉めた。  僕は第13特殊遊撃戦隊が解散してしまったことを後悔していない。むしろ好意的にも思う。  おかげで彼女はもう戦場には出られない。自由は失ったが、それでも死ぬよりはいい。生きていて欲しい。僕はそう思って……いる。 「お前はあの子を死なせたくないから言っているのだろ? どうにも昔のお前の恋人と重なって見えるから。お前は惚れた女を傷つけられたくないからな」  自分しかいなくなった部屋の中で、榎本師団長が長々とつぶやいたのを僕は知る由もなかった。 第46話『師団長の因果』END
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