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「やりすぎたあぁぁぁぁぁ!」
何事も加減が大事なようだ。
彼の存在に気づいたのはその日の午後だろうか。冥さんと香月による壮烈なおかずの奪い合いから逃げ回っていたら、どこか見覚えのある背中を見つけたのだ。
とは言え彼だという自信はない。なんせ数回しか会ったことがないからだ。あ、直人ともご無沙汰だな。まぁアイツはどうでもいい。
とにかくフォークとナイフをまるで武器のように構えて対峙する2人の隙をつき、僕はそそくさと食堂から逃げ出したのだ。彼を追うために。
「ギルバート・ベイリアル少佐──」
僕の声に身長180センチメートルを優に超えている長身の男が、ギクリと肩を震わした。
どうやら僕の読みは正解らしい。
「だ、誰のことかな? 俺はただのバーのマスター」
「んなわけあるかあっ!」
僕の跳び蹴りがギルバートのどたまに突き刺さる。以前に垣間見た彼の生命力なら問題ないだろう。ギルバートは後頭部を押さえながらゆらりと立ち上がる。
「痛たたたっ。いきなり何をす……キミは確か……春日一尉かな?」
縁なしメガネにやや長めの髪。うっすらあごひげ。
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