第47話 抱えし三日の苦悩

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 ギルバートは目を丸くして、 「本当にか?」 「えぇまぁ」  なぜか非難されているような気がしなくもないが。気のせいかなぁ。  ギルバートはしばしの間、無精ひげの生えたあごをさすったのちに低い声で言った。 「ならこれも何かの縁だ。帰る道すがら、お前に少しだけ話をしてやろう。彼女の状況と──なぜ彼女が適合しているかをな」  消去技術者(イレイズプラクティショナー)は不敵に笑ってそう告げた。  コツコツと靴音が誰もいない廊下に反響する。  ギルバートには以前よりもさらにやつれた印象があるが、それも激務のせいかもしれない。もしくは慣れない異国の地にいるからか。どちらにしても僕にはあまり関係ない。できれば会いたくもない人物のうちの1人なのだから。 「あのう……いったいどこまで行くんですか?」  先ほどからずっと沈黙が続いており、どうにも耐えられなかった。しかし、一歩先を歩くギルバートは何も話そうとはしない。  徐々に気が苛立ってくる。話してやると言ったくせにこの態度。いや、別に大して気にはならないし、どちらかというと聞きたくもないのだけど。
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