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ギルバートの表情が急に和らいだ。それを合図に張り詰めていた緊張が、プツンと切れてしまった。
なんだか力が抜けるんですけど。
「まぁ、それは言うな。それに堅い話でもないしな」
言うからには消去関連の話ではないのだろう。ギルバートは僕の肩に手を置くと、
「シャルロッテからの伝言だ。『心配しないでください。私がついてますから』だとよ。俺を毛嫌いするくせに」
少佐、痛いんですけど。肩に手がめり込んでるんですけど。この冷気は殺気じゃね?
「おっと、つい殺意が」
こ、このオッサン……。ひりひりする肩をさすりながら僕はギルバートを睨みつける。
ふむ、どうやら本気で悔しがっているらしい。別に悪気はないが、ロリコンもここまでくれば素晴らしいものである。なりたくもないけど。
「最近は勉強していてな、なかなか飲み込みが早い。惜しいが秀才だよ」
優しい目で、ギルバートは誇らしげに語り出す。いや、ロリコンなんかじゃない。どちらかというと親が似合っているよ。うん、まったく。
「で、あのう……」
おずおずと口を開く僕に、ギルバートは言った。
「天地レイか?」
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