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先回りされてしまった。まぁ実際それが聞きたかったのだから否定はしない。僕は首肯する。
「ずっと寝ているさ。対爆防護壁の部屋に隔離されてるとはいえ、その気になれば強行脱出も可能なのにな」
どことなく非難しているようだ。強行脱出しろと言っているようにもとれる。状況は変わらないか。
「そうですか……隊長の戦場復帰はないんですね。ありがとうございます」
お礼を言われた時のギルバートの驚愕した顔は、僕には忘れられないだろう。開いた口が塞がらないとはこのことのようだ。
「……それだけか?」
ギルバートが喉から声を絞り出す。
「本当にそう思っているのかっ!?」
僕の襟元を絞ると、ギルバートはそのまま僕を壁に押さえつけた。手が震えている。
あまりにも突然だから、肺から空気が全部抜けてしまった。新しい酸素を吸おうにも、絞られているため吸いにくい。やべ……死ぬかも。
熱のこもったギルバートに僕の窮状などわかるわけもなく、
「なぜ逃げないのか、お前にはわからないのか!? 彼女が何を思っているのか、わからないのか!?」
……な、なんのことだ? 天地隊長が何を思っているかだと……。
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