第48話 天使と椎名

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 仕事が減って喜ぶ部下と対照的に、冥さんと香月は今にも泣き出しそうな目で僕を見つめる。 「そ、そんなー。あんまりですー」  冥さんの瞳には溢れんばかりの涙が溜まり、うわー……ちょっとやりすぎたかな。僕は冥さんの両肩に手を置いてみた。 「何を言うんだよ冥さん。外出なしってわけじゃないんだよ。ただ仕事の量が増えただけなんだ。外出許可は今日だけしかでないけど、まだ朝の10時じゃないか。まだまだ時間はあるよ。14時間くらい」  腕を曲げて、冥さんの耳元に息が触れるほど近づいた。 「かかか春日さん!?」  泣きかけの顔がまるで嘘のよう、真っ赤になる冥さんなど無視して僕は言葉を紡いでいく。 「大丈夫、冥さんならできるよ。僕は信じてるから」 「……春日さん」  冥さんの肩をポンと叩くと、いつもの調子で言う。 「さぁ頑張れ」 「わかりましたーっ!」  まるで憑かれたかのように猛然と書類を片づけていく冥さん。いつもこんな風に仕事してくれたらなぁ、はい切実な希望です。あとなんかデジャブ。 「……三佐もけっこう腹黒いですね」  僕の隣に立つ香月は呆れかえって苦笑いをしていた。いったいなんのことやら。
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