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「ただ説得をしただけだよ。鬼畜野郎とか小声で言われるようなことはしてないから」
「いやいや、そのやり方がですね……もういいです」
重いため息をついて、香月は自分の仕事に取りかかった。なにやら無性に気にはなるが、どうやら聞かないほうがいいようだ。
やれやれ、僕も書類を片付けないと。
全ての仕事が終わったのは昼過ぎ頃だった。
部下が1人、また1人と退室していくなか、最後まで冥さんたちに付き合っていたからだ。てか結局は涙を流しながら倒れ伏す2人に替わって、僕が片付けるはめになったんだけど。まぁそれはそうと、
「あのう、連れ去られるグレイタイプの宇宙人みたいに歩くのは止めてくれない?」
人々が行き交う白昼の道、そのど真ん中を歩く僕の右腕を冥さん、左腕を香月が抱えていた。
恥ずかしいったらありゃしない。ちょっと非常識すぎますよ。
「緊急事態なのでやむを得ません」
殺気がびんびん伝わってくる香月の低い声。決して口には出さないが、すぐにけりを付けるから黙ってろと言いたげだ。少し誇大妄想が入ってるかも。
対する冥さんも冥さんで、戦闘一歩手前な状態だ。
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