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仲が悪いのはもちろん知っているが、この2人今日は特に仲が悪いようだ。
昼食をまだ食べておらず、空腹なのが原因かもしれない。いや、そうに違いない。てかケンカの原因がどこでご飯を食べるか、なのだから飢えた猛獣と化しているのは当然といえば当然か。
極論だけど、背中に彫り物をしてるオッサン達と相席するほうが、いくぶん気が楽かもしれない。
「まぁまぁ2人とも、抑えておさ」
「んなことどうでもいいんですー!」
冥さんの逆鱗に触れてしまった。まさかこっちに火の粉が降りかかるとは……いい迷惑ですホント。
ガルルと牙を剥いて威嚇しあう2人の手を振りほどき、ため息混じりに天を仰ぎ見る。
「答えを待っている……か」
ギルバートが最後に言った一言が不意に口からこぼれ落ちた。情けない話だけど、この言葉が昨日からずっと頭に残って離れないでいるのだ。ギルバートはいったい何を伝えたいのだろうか。
「春日さん、どうかしましたかー?」
香月と小競り合いを繰り返している冥さんが、鎌首をもたげた。香月もつられて僕の顔を見た。
なんでもない……うん、なんでもないから。
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