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椎名さんは微笑すると、
「春日一尉──今は三佐でしたか。春日三佐に会うためです」
と、だけ言った。
待て、なぜ僕に会う必要がある? 後を引き継いだギルバートに会うならまだしもどうして僕なんだ。
「本当ならじっくりと話したいけど……追っ手が来るから時間ないのよ」
うわー、また物騒な単語が出てきたよ。椎名さんほどの美人なら追いかける人の1人や2人は出てもおかしくないかも。
「えーっと……暴漢とかですか?」
「違う違う」
えっ、違うのか? じゃあいったい誰の追っ手なんですか。椎名さんは赤い唇を指でなぞった。
「反対派の軍部よ。すでに消去システム開発のバックアップであり元統合軍極東方面軍参謀長だった天地大吾──天地レイの実の父親も捕まったわ」
待て待て待てえぇぇぇっ!
いったい何がどうなってるんだ? 椎名さんは軍に追われ、元高官は逮捕。しかもその元高官が天地隊長の父親っ!?
怒涛のようにまくし立てられる話について行けなく、脳内メモリーがフリーズしそうだ。
「えーっと……ちょっと時間ください。軍部の反対派?」
「消去システム反対派よ」
「……捕まる?」
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