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第3師団榎本陸将は感情に任せて机を叩いた。会議に出席した全ての師団長も同じ表情だ。
「そんな作戦など認められるわけがないっ!」
すでに会議は二分されていた。師団長クラスからなる前線指揮官と本部から一歩も動かない高級将官とである。師団長クラスの代表として榎本陸将は赫怒し、憤っていた。
「我々は使い捨てではないっ! そんな作戦など」
「黙りたまえ! すでに決定事項だ。現戦力で勝てないのなら大打撃を与えて時間稼ぎするしかあるまい!」
北部方面軍方面総監酒井健二陸将が顔を赤くして吼えた。数では勝る下級将官だが立場としては高級将官には勝てない。しかし、抗いはする。
「だが、首都までスィエルが侵攻した際は宇宙太陽光発電で愛知ごとスィエルを葬り去るなど……」
宇宙太陽光発電とは、衛星軌道上で太陽光をマイクロ波もしくはレーザー光に変換し、地上の受信局で電力に変換する技術である。
現在、各国で足りない電力を補助している主な発電方法だ。ただ、この電磁波を地上に照射すると、大量破壊兵器になるという困ったさんでもある。
「あくまでも最終手段だ。アラスカみたいに相討ちになどなってたまるか」
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