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助かる見込みがないならば、生き残る可能性に賭けたのか。なんとゆーか、当時の苦悩が思いやられる。死を待つか、兵器として生き残るかの二択。しかもスィエルへの憎悪で無理やり戦闘させるなんて。
「でも、今まではあなたが支えになってくれてましたよね?」
艶然と微笑む姿が僕には眩しい。
「支えだなんてそんな……僕はただ」
「ふふっ、まぁいいわ。そこが三佐らしいですし」
うむむ……僕らしいと言われてもなぁ。あんまり自覚がないから嬉しくもないという罠。ちょっと残念だ。
「さて、そろそろ時間が無くなってきましたね」
……具体的な話はしてもらってないんだけど。しかも話のほとんどが天地隊長の身の上話だし。
「き、気にしたら負けだから」
珍しく椎名さんがたじろいでいる。本当は違う話をしたかったのかもしれない。
椎名さんは僕の肩を叩くと、そっと耳元に口を寄せた。え、いきなり何をするんですか!?
「──春日三佐、スィエルを全て倒そうだなんて思わないでください」
……なぜだ? スィエルは倒すべき敵だろ。
「彼らは1つの多次元生体兵器です。とうてい正攻法で全滅などできません」
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