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僕は自分の耳を疑った。スィエルの存在というものは多少なりとは考えたことがある。けれど多次元生命体だなんて発想はなかった。まるで創作の世界じゃないか。
椎名さんの口調が固いものに変わった。
「質問は受け付けません。ただ事実を伝えていきます。特殊技術開発局のとある班の研究結果として、全ての個体が同じ作りで寸分の狂いもありません。つまり彼らは多々で1つの個体であり、それのオリジナルを倒すしか勝利はありえません」
僕はただただ椎名さんの言葉を頭に叩き込むことしかできない。なんの証拠も確証もないが、不思議と彼女の話は嘘とは思えない。それも彼女が纏う異質の空気が故か。
「そして彼らが隕石衝突の際に出現したは明白です。平行宇宙が重なったのかどうかは知りませんが、1つ言えることはその重なった部分は落下地点しかありえないということです」
頭が痛くなってきた。さすがにこれは信じてよいのか悪いのか。
「上層部は特殊技術開発局を通じて周知です。ただ1つ知らないことがあります……オリジナルの存在です」
彼女は真剣だった。信じてみる価値は……ありそうだ。いや、信じるしかないのかもしれない。
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