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海を除く男子メンバー達は、落ち着いた髪色や服装をしていたし、そしていわゆるイケメンだった。
だが雰囲気と様相から、有名大学生だとは感じられないという偏見があった。
しかし、それが一番肝心であったはずの桜が、一人に夢中になった。
明るいムードメーカーの性格で、ルックスが一番良い稜だった。
あっというま間に、部屋はとてもいい雰囲気になっていた。
並々ではない結衣達を筆頭に、普段大人しい静香までもが相手と盛り上がっていた。
それから、数時間…コースは終盤に差し掛かっていた。
テーブルには空いたビールジョッキやロングタンブラーが大量にあり、ウェイトレスが片付けているのを静香が手伝っている。
その様子を隣にいる明人が微笑みながら、しどろもどろに手伝っていた。
明人たちの正面で、結衣と海は頼んだピッチャー溢れるほど注いだジョッキを持ち、二人で乾杯をしている。
完全に出来上がっている二人の隣では、桜と稜が恋人のように甘く、デザートを食べさせあっていたり。
そしてその正面で、私は何十杯目か知れない酒に手をつけようとしていた。
「それ、焼酎?」
「そう。」
「さっきからロックばっかり。」
「度数が高いほうが飲み応えがない?」
「あぁ。俺もロックは、好き。」
私は隣にいる悠貴の存在などお構いなしに、平然と焼酎を煽った。
なんだか今日の合コンの流れには、いまいち乗りきれてなかった。
そんな私の男勝りの飲みっぷりを、悠貴は見つめていたから少し恥ずかしくなる。
残り物同士…。
不運な悠貴が向ける興味を知りながら、私は空いたグラスを置くと言った。
「私が相手なんて、つまらないでしょ?」
「…。」
「いつもは静香と二人で殻に篭るんだけど、今日は私だけ茅の外みたい。」
私は不意に、静香達を見つめた。
顔を紅くしている静香はその視線に気付かずはずもなく、明人に寄り添い上目使いで見つめている。
その光景を一緒に見た悠貴は、微笑んでいた。
「明人はいい奴だ。心配しなくてもいい。」
「なら…ね。」
なんだか今日はつまらないとついていけないと半ばいじけていた私でも、悠貴の温厚な態度に少し興味を持った。
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