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「あ、あぁ‥ありがとうございます」 涙も拭かずに、慌ててハンカチを受け取る。 青年は風に黒髪を揺らし、小さく笑って香澄の涙を拭ってくれたのだ。 (うそ‥‥) 顔から火が出そう、と顔を真っ赤にする。 香澄は今度こそ相手に見惚れて目を丸くしていた。 再び我に返るのは、 青年が甘い香りを残して去った後だった。
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