虹色

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「・・なんか大変なことに なって・・。すまん・・藍。」 「そんな・・謝らないで ください・・。 ノリさんが悪いわけ じゃないですか・・。」 藍の声のトーンが下がる。 「・・お前、大丈夫?」 「・・はい。」 「今週末、ライブやろ・・?」 ノリはおそる、おそる聞いた。 「はい。」 やれんの? ノリは聞けなかった・・。 「ちゃんと・・やります。 警備体制ばっちりにして。 少し・・怖いけど。 でも・・仲間を信じてます。」 そうか・・。 「お前は・・強いな。」 思わずノリはそういった。 「・・あたしが 強いんじゃなくて。 仲間がいるから。 ノリさん、あたしに いってくれたじゃないですか。 仲間だって。 あたし・・ すごく嬉しかった。」 『仲間』。 無意識のうちに 自分で藍に そう言ってたなんて・・。 「仲間がいるから・・ あたし、歌えます。 ノリさん。」 そうや。。 仲間がおるから。 すぐそばに・・。 「ノリさんも・・ そうでしょう? だからMARIAでもUCBでも・・ 誰よりも・・何よりも ノリさんが光ってますよ。」 そうか・・。 そうだよな。 「なぁ・・藍。俺・・。」 俺・・。 「また・・MARIAでうたえるかな・・。 また・・輝けるかな・・。」 なんだか泣きそうだった。 大変なのは藍のほうなのに。 「・・歌えますよ。また・・ MARIAで。皆、待ってますよ。 ファンもメンバーも。 ノリさん、あたしに 言ったじゃないですか。 俺はファンの為に 歌ってるって。 ファンがいたから・・ 立ち上がれたって。」 皆・・待ってる。 「・・ありがと、藍、 おかしなはなしやな。 俺が・・ お前に励まされとる。」 ふふっと受話器越しの 藍も笑った。 「声が聞けて嬉しかったです。 心配だったんです。 あんな・・ 変な報道されちゃったし。」 そうやな、 ノリも頷く。 「お前は・・俺の 大切な仲間や。 本当に・・ありがとう。」 声が震えた。 もう・・泣きそうだった。
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